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◇エコツーリズム最新情報
1.エコツアーから見えてくるエコツーリズム
1. エコツーリズムは感じるもの 〜ガラパゴスのエコツアー体験記1

ガラパゴスのダーウィン研究所では、絶滅の恐れがあるゾウガメなどの動物の保護・飼育を行っています。観光客はガイドの説明を受けながら、施設内を見学します。

観光客にとってエコツーリズムとは何なのでしょうか。

今年の6月にガラパゴスのエコツアーに参加しました。クルーズ船に宿泊して、いくつもの島に上陸し、動物観察やスノーケリングを楽しむ3泊4日のプログラムです。
島に上陸するのは、午前と午後の2回です。それぞれ2〜3時間で、15名程度のグループごとに行動をします。1グループに1人ずつガイドが付いて、動物やガラパゴスの自然などについての解説を受けながら、決められたルートを歩いていくといったものです。

動物観察だけではなく、ビーチでスノーケリングを楽しむ時間もあります。海で泳いでいると、アシカが寄ってきて、水中でお見合い、なんてこともありました。とにかく動物の多さに驚き、人間を怖がらない彼らに驚き、地球上でこんなところがあったのか、と感激しました。
 そして、十分にガラパゴスを楽しんだツアー最終日、初めて「エコツーリズム」という言葉を耳にしました。カクテルパーティーで、ガイドが私たちに次のように言ったのです。
「家に帰ったら、ガラパゴスで見たこと、感じたことを思い出して下さい。そして、それぞれの生活の中にその思いを活かして下さい。これがガラパゴスのエコツーリズムです。そして、ガラパゴスのエコツーリズムを家族や友人に伝えて下さい!」

そういえば、ガラパゴスではエコツーリズムが盛んであると伝え聞いていたにもかかわらず、ツアー中にひと言も「エコツーリズム」や「エコツアー」といった言葉を、ガイドからも船のクルー達からも聞いていませんでした。言葉ではなく、エコツアーを体験することによってエコツーリズムが伝えられたのでした。

ガラパゴスの自然を楽しんだ後、ツアー最後のプログラムとして、インタープリテーションセンターと呼ばれるガラパゴスの自然や歴史を紹介する展示施設を訪れました。この施設はガラパゴスでの自然と人間の関わりや、ガラパゴスの人々のエコツーリズムへの取り組みや思いを学習するものです。希望者のみの参加にもかかわらず、多くのツアー参加者がインタープリテーションセンターを訪れ、熱心にガラパゴスについて学ぶ姿が見られました。

(2004.8掲載)
 写真・文:岩城 智子((財)日本交通公社)
2. 自然との“距離” 〜ガラパゴスのエコツアー体験記2
ガラパゴスの動物たちは、人間を怖がりません。私たちの目の前で、昼寝をしたりくしゃみをしたり、のんびりと過ごしています。
「え?生きてるの?」と目を疑いました。初めてガラパゴスの海岸に降りたった瞬間、岩だと思いこんでいた茶色い物体がごろん、と動いたのです。それは人間を怖がる様子もなく、のんびりと寝返りをうっているアシカでした。何がなんでも固有種である珍しい動物を見たいという思いで、双眼鏡を持参してガラパゴスに訪れましたが、なんのことはありません。探す必要など全くなし。そこらへんに"珍しい"動物がころがっているのです。不思議な感覚です。まるで動物園の檻の中にいるような気分です。

 ガラパゴス諸島は世界自然遺産第1号の名誉を持つ、太平洋に浮かぶ島々です。一度も陸続きになったことがないことから、そこでしか見られない固有種と呼ばれる動物が多く生息しており、そのような貴重な自然を保全するために、早くからエコツーリズムの考えが取り入れられているところです。観光客は主にクルーズ船に宿泊し、趣の異なる大小の島々に上陸して、動物観察を楽しみます。

 すぐそこに、動物がいます。カツオドリがタマゴを温めています。アシカが石をまくらに昼寝をしています。人間を見ても逃げ出すことなく、威嚇することもありません。手を延ばせば触れることが出来る距離に彼らの生活があるのです。私たち観光客と動物たちとは1m、いえ時には30cm程の距離しかありません。ガラパゴスで感じる自然は本当に近くにありました。しかし、私たち人間と動物の距離がゼロになることはありません。それは何も動物に触れてはいけない、という現地の観光ルールだけが原因ではなく、クルーズ船から島々に渡り、そこに住む動物たちの生活を私たち人間が見に行くという観光スタイルにあるように思います。

 エコツーリズムは、ガラパゴスのように自然と人間に一定の距離を置くようなタイプだけではないでしょう。自然と一体となった暮らしを素材とするようなサイトでは、人間と自然との距離が全くないところもあるはずです。そのようなところでは、観光客への素材の見せ方、プログラムの提供の仕方もガラパゴスのケースとは異なるはずです。このような自然と人間の距離といった視点から、それぞれのサイトでのエコツーリズムを考えてみるのも、おもしろいのではないでしょうか。

(2004.8掲載)
 写真・文:岩城 智子((財)日本交通公社)

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